家族じゃない誰かに、ちゃんと想いを託す方法

「私には家族がいない。
でも、長年支えてくれた友人に、感謝の気持ちを何か残せたら──」
そんな想いを抱く独身者は、少なくありません。
しかし、生命保険の受取人は原則として“法定相続人”であり、他人に自由に残すことは簡単ではないのが現実です。
そこで注目されているのが「生命保険信託」。
これは、保険金の受取人を“信託銀行”などの信託機関に設定し、あらかじめ決めたルールに従って、指定した相手にお金を届ける仕組みです。
たとえば「友人Aに毎年50万円ずつ、5年間にわけて渡す」といった指定も可能。
一括で渡すと不安な場合や、障がいのある人に長く支援したい場合なども、活用できます。
法定相続人がいない独身者の場合、保険金は“国庫(国に没収)”となってしまうこともあります。
でも、信託を使えば、自分の大切な誰かに、確実に想いを届けることができるのです。
血縁がなくても、人生の中で築いた“絆”は大切な財産。
その絆を未来に託す手段として、生命保険信託は静かに注目を集めています。
「家族じゃないけど、大切な人がいる」
そんなあなたにこそ知ってほしい、“想いをかたちにする”保険の使い方です。

死亡保険金のかけ方で税金が変わる

〜契約者・被保険者・受取人のバランスがカギ〜
Cさん(50代・女性)は、ご主人のために1,000万円の死亡保険に加入しました。契約者はCさん、被保険者はご主人、受取人はCさん。何も問題なさそうに思えますが、実はこの組み合わせ、万一の際に「相続税」が発生するケースです。
死亡保険金にかかる税金は、契約の組み方によって変わります。たとえば:
契約者=被保険者=Cさん、受取人=子ども → 一時所得
契約者=Cさん、被保険者=ご主人、受取人=Cさん → 相続税
契約者=子ども、被保険者=Cさん、受取人=子ども → 贈与税
このように、同じ保険金でも誰が契約しているか、誰が被保険者で、誰が受け取るのかによって、かかる税金が「贈与税」「相続税」「一時所得」と異なります。特に贈与税は税率が高いため、意図せず高額な税負担になることも。
ファイナンシャルプランナーに相談し、事前に税金を踏まえた「保険の組み方」をしておくことで、のちの負担を大きく減らすことができます。Cさんも、契約を見直したことで最適な形に整えることができました。

沖縄の相続事情➁

沖縄では長男が家と位牌を継ぐ伝統がありますが、近年では長男が相続放棄を選ぶケースも増えています。現代の法律では財産は平等に分割されるのが基本であり、長男がすべてを継ぐ旧来の方法では、兄弟間のトラブルになりやすいのが実情です。特に家や土地のみが財産の場合、修繕費や維持費の負担が重く、相続時には専門家の助言を受けることが重要です。
Aさんのケース:姉と弟の相続問題
Aさんの家庭では、姉が離婚後に実家で両親と同居していました。一方、弟は遠方で家族と暮らしていました。そんな中、父親が急逝。弟は姉が家を継ぐと考えていましたが、親族から「家と位牌は長男が継ぐべき」との意見があり、相続問題が発生しました。
最終的に、姉が実家の税金を負担しつつも、家の名義は弟へ。しかし、住む人と相続者が異なることで管理や負担の問題が残りました。
このような問題を回避するため、生命保険の活用が有効です。
解決策:生命保険による公平な財産分配
① 生命保険金を活用
父親が生前に弟を受取人とする生命保険(例:1,000万円)に加入しておけば、弟は現金を受け取れるため、家の相続を姉に譲ることが可能になります。
② 不動産と現金で公平に分配
姉 → 家と土地を相続(維持管理を担当)
弟 → 生命保険金を受け取り、不動産相続分とバランスを取る
これにより、姉は住み慣れた実家に住み続けられ、弟も公平な財産分配を受け、トラブルを回避できます。
生命保険を活用すれば、相続争いを防ぎ、兄弟間の負担を公平に調整できます。沖縄の相続で家や土地が主な財産となる場合、効果的な対策として検討する価値があります。

沖縄の相続事情➀

今回ご紹介するのは、遠方に住む兄弟との相続協議と、未登記不動産の事例の二つです。
いずれも沖縄特有の事情が絡む相続問題で、遠方とのやり取りや法改正による義務化がポイント。
どう解決したのかをご紹介します。
・遠く離れた兄弟姉妹との相続、どう乗り越える?
沖縄出身のAさんは、ご両親が亡くなった際に県外や海外に住む兄弟と連絡がうまく取れず困っていました。
お墓の管理費や遺産の話し合いも時差や意見のすれ違いで停滞。
そんなとき、オンライン通話やチャットを活用し、専門家に頼りながら意見をまとめた結果、手続きはスムーズに進行。
遠方との距離は、もう大きな壁ではなくなりました。
その後、家族の絆も深まりました。
・未登記のまま放置。法改正で焦らないためには?
沖縄在住のBさんの実家には、祖父母から受け継いだ未登記の土地がありました。
売りたいという話が出ても名義があいまいで進展せず、相続人も把握できない状況です。
さらに相続登記の義務化という新ルールが迫り、過料の恐れがあると知り不安になりました。
そこで専門家に相談し、戸籍を調べて全員の承諾を得たうえで登記を完了。
放置していた財産を有効に活かせる道が開けました。

まさかの、その時支えたい

皆さんは「がん保険」に入っていますか?
私は職業柄、多くの方の様々な種類の保険契約を担当しています。
生命保険、医療保険、介護保険、学資保険・・・
そんな中で「ヒヤッ」とするときがあります。
それはお客様から「私がんになったみたい」と連絡をいただくときです。
病状の心配はもちろんですが、それと同時に「〇〇さん、がん保険いくら保障があったっけ」と急いで契約を検索します。ほとんどの方が、しっかりと保障をかけてくれているお客様ばかりですが、中には「私は絶対にがんにならない!」と保険に入らない方もいらっしゃいます。
近年ではインターネット等の普及により情報過多社会とも言われており、「保険不要論」なんて言葉も耳にします。お客様から「保険は必要ですか?」と聞かれることも多く、「絶対にがんにならない人」ではなく、「がんになっても経済的に困らない人」には不要、それ以外の方は必要だと思います。ユーチューブなどで「保険なんていらないよ」という方に共通しているのは「保障金を支払う責任がない」こと。私たちのような保険を扱うファイナンシャルプランナーは、お客様に不測の事態があったとき、保険会社を通じて保険金をお支払いする責任があります。お客様に何が起きても「大丈夫ですよ」と言えることが、私たちに求められる大事な責任です。

終身死亡保険で死後整理費用を最適化

〜使えるお金が増えたBさんのケース〜
Bさん(70代・男性)は、葬儀費用やお墓の準備を見据えて、終身死亡保険に加入していました。保障額は300万円。本人は「自分が亡くなったとき、子どもに迷惑をかけたくない」と考えていました。
ある日、息子さんがファイナンシャルプランナーに相談したところ、「この保険、活用次第で“使えるお金”を増やせますよ」とのアドバイスが。保険金を、死亡後にかかる費用(葬儀・納骨・初七日など)にあてたことで、手元資金を別の用途に回すことができたのです。
終身死亡保険は、現金で準備するよりも「非課税枠の活用」や「相続対策」としても有効です。また、契約者・被保険者・受取人の組み方次第で、税負担を軽減しながら“残す”ことができます。
結果的にBさんのご家族は、準備していた以上の金銭的ゆとりを得られ、「こんなに活用できるとは思わなかった」と喜ばれていました。

夢があるから、保険に入る
~自分投資型という発想~

生命保険といえば、「万が一のときに家族にお金を残すもの」というのが常識。
でも今、ちょっと変わった“逆転の発想”が注目されています。
それが、『自分投資型保険』というアイデア。
簡単に言えば、「夢を叶えた未来の自分に、ご褒美として保険金をプレゼントする」という設計です。
たとえば、30歳の今、「40歳までに世界一周したい」「カフェを開業したい」と思っている人がいたとします。
そんな人が終身保険や養老保険を活用し、10年後に満期金(または解約返戻金)を夢の実現資金として設計しておく。
しかも、もし夢を叶えられなかったら、保険金は寄付する、または誰か大切な人に託す──それが“人生ガチャ”です。
夢が叶えば、自分にご褒美。
叶わなくても、想いを誰かに残せる。
まるで“未来の自分へのラブレター”みたいな保険の使い方です。
保険=不幸のため、という固定概念をひっくり返し、
「人生をどう楽しむか」「夢をどう実現するか」という視点で考える。
そんな自由な発想から生まれる、自分らしい保険設計もアリなのです。
宝くじは当たるかどうか運次第。
でも、この保険は「積み立て次第」で夢に近づく仕組み。
そう考えたら、かなり当たりやすい“未来の宝くじ”かもしれません。

入院保険のかけ方

〜医療制度の変化に取り残された保険〜
Aさん(60代・女性)は、30年前に医療保険に加入していました。当時の内容は「入院1日あたり1万円が支払われる」というもので、掛け金もお手頃。ところが最近、手術で3日間だけの入院を経験。短期入院のため受け取れた給付金はわずか3万円。一方で手術費用や通院費などの実費がかさみ、本人もご家族も「思っていたより助けにならなかった」と実感されました。
現在の医療制度では、入院期間は短縮傾向にあり、日帰り手術や通院治療が主流。以前のような「長期入院前提」の保険では、実情に合わなくなってきているのです。
保険は「一度入ったら安心」ではありません。時代や制度の変化に合わせて、定期的に内容を見直すことが大切です。特に医療保険は、治療の形が変われば、必要な補償内容も変わります。Aさんのように「いざというときに使えなかった」とならないためにも、専門家に相談しながら、最新の医療事情に合った保障内容へ見直すことをおすすめします。

その保険、本当に安心?
“3大疾病”の中身とは

「3大疾病」と聞いて、どんな病気を思い浮かべますか?
多くの方が「がん・脳卒中・心筋梗塞」と答えるかもしれません。でも実は、保険会社によって“3大疾病”の定義や保障範囲が少しずつ違うんです。
 たとえば「がん・脳卒中・急性心筋梗塞」と限定している保険もあれば、「がん・脳血管疾患・心疾患」と広くカバーしている保険もあります。
 先日、私のお客様で3大疾病保障のある保険に加入された方がいました。加入からしばらくして健康診断で不整脈を指摘され、精密検査の結果「期外収縮不整脈」と診断されました。治療には入院と手術が必要になりましたが、彼女が加入していた保険は「心疾患」を対象にしていたため、無事に給付金を受け取ることができました。
 もしも彼女の保険が「急性心筋梗塞」限定のタイプだった場合、このケースは対象外だったのです。
たった数文字の違いですが、給付されるかどうかを分ける大きなポイントになります。
「保障は似たようなもの」と思わず、ぜひ加入前には保障範囲を確認してみてください。少し保険料をプラスすることで、より広い安心が得られることもあります。
 信頼できるファイナンシャルプランナーに相談しながら、後悔のない選択をしていきましょう。